6年半のニューヨーク生活の後、東京で音楽活動経て、ロンドンにて4年住みました。 2児の母


by nanaken4
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思い出

思い出_c0062495_1255034.jpg


リッチモンドのテムズ川が見える有名な景色。
写真の質は、イマイチ。


今日はお歌のレッスン2回目でした。
生徒さんと一緒にイタリア歌曲を歌うことに。
思い出が詰まったボロボロの楽譜。

半年ほど前に、
大学の声楽の恩師で娘にカーディガンを編んで下さったりした教授がFacebookでメールをくれた。

そのメールには信じられない事が書かれていた。
私の通った大学の音楽学部で41年勤めて退職することになったハニング教授のために
教授たちが全員集まってランチョンがあったそう。
そこで皆がスピーチを終えたあとに
ハニング先生が用意してたスピーチを読み始めたと。
色々なことを語った後、

ある生徒がヘンデルのアリアを歌い、涙がこぼれた、と。

メールをくれた恩師は、

あの時のあなたのV'adoro pupille 歌ったレッスンよ、覚えてる?

と。

えー!
私!?

確かに恩師のレッスンで、そのイタリア歌曲をやった時にすごく褒められて、
「待ってね、ハニング先生隣の部屋にいるから連れて来る!」
とか言ってハニング先生を連れて来て
レッスン室のソファに座らせて
先生は私のイタリア歌曲をなにくわぬ顔で聴いていて、褒めてくれたけどお世辞かなーと思っていた。

だって、あの時の私はピアノ専攻で、
声楽は片手間にやっていた状況で、苦手意識。
自分では上手く歌えたのかもわからなかった。
しかも、ハニング先生は有名人というか、
有名な音楽史の教科書を書いた人で、うちの大学では大物教授みたいな人。
私のピアノの演奏の期末試験でも、
ハニング先生が審査に入ってると
爪の音がウルサイとか、私はこの作曲家好きじゃないとか、
かなりキツい事ばっか言われて、あんまりいい思い出が無かったのに!

恩師は、

それ聞いてとても心が動かされたから、あなたもきっと聞きたいに違いないと思って。

とわざわざメールをくれたのだった。
母ちゃんになって2年半。
突然の恩師からのメール、
本当にびっくりしたけど嬉しかった。
何年も忘れていたこと、
しかももう思い出さなかったかもしれない事が、
誰かにとってそんな風に心に残っていたなんて。

ハニング先生に教科書にサインしてもらえばよかった。
先生、41年間お疲れ様でした。
ご退職おめでとうございます。
私もまだまだ頑張ります。
by nanaken4 | 2012-03-07 11:24 | ロンドン生活